なぜHTML5仕様を訳そうと思ったのか
先日のOpera高松オフで質問されて、正面から回答をしなかった/できなかったのでここでちゃんとした回答を。
1)和訳が「ない」から。
RFC 1866としてのHTML2.0、W3C仕様としてのHTML3.2、SGML応用として最後の仕様であるHTML4.01、XMLによる再定式化が行われたXHTML1.0、複雑なルビを唯一扱うことのできるXHTML1.1…とまあ、検索すれば和訳が出てきたりします。けれども、HTML5に関して言えば、HTML5 タグリファレンスがあっただけで、最初から最後まで日本語で通して読めるサイトを知らなかった、と。馬鹿でかい仕様なので乗り気じゃなかったというのも正直あった(訳すように仕向けられた、みたいな文言はそのあたりの事情もある)けど、なければ自分で作るしかないというのが1つ目の動機。
2)HTML5仕様を知りたかったから。
前のバージョンであるHTML4がはじめて勧告されたのが1997年の12月で、改訂版であるHTML4.01の勧告が1999年の12月。それから10年以上の時を経て、ようやくフルのHTML5が勧告候補になったのが2012年の12月。改めて言葉にするまでもなく、ウェブの世界はずいぶん様変わりしました。
HTML5に関して言えば、ウェブのさまざまなところで取り上げられ、いわゆるバズワードと化している面もあるけれども、マークアップ言語としてHTML4の後続であるHTML5とは何なのか、その正確なところを知るには元の仕様書を当たるのが骨の折れる作業を伴うものの、結果的に一番早いだろうというのが2つ目。私は英語を読むのに時間がかかる人間なので、英語が翻訳された日本語で文書が読めたら嬉しいよね、と言うのも動機になるのかもしれません。
3)ウェブ標準に意義があると信じているから。
信じるという若干宗教的な観念を含んでいますが、サイトのアクセシビリティやブラウザの相互互換性というものをウェブページを作成する上で考慮するとなると、ウェブ標準に従うのが最も近道である、と考えます。そういったことも加味しつつ「よいウェブページ」を作成しようとすると、基礎となるHTMLの理解が必要不可欠だろうと。となると、仕様書を読み込まないといけないから、というのが3つ目の動機。
とまあ、大きく挙げればこの3つですかね…。