血統の森+はてな

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久々に本読んだな、と思った瞬間

『夜のピクニック』/恩田陸[AA]

映画化するというのを偶然テレビで見て、書店で平積みまでされるとちょっとげんなりしてもおかしくないわけですが、それもまた恩田陸だから、ということでしょうか。それでも恩田陸だし、ちょうど暇潰しにいいかということで購入。しかしまあ、amazonにネガティヴなレビューを付ける意味はあるのかねえ。そんなレビューにげんなりしたり。

恩田作品はドラマ愛の詩の『六番目の小夜子』を見てから原作を読んだ程度ですが、中高時代、とりわけ高校生時分の郷愁を駆り立てていく作風は変わることなく、むしろ本作では話をより自然に、より丁寧に展開されていったと感じ。

小夜子と本作をもうちょっと比較するならば、小夜子で結構前面に出てたであろうミステリアスな要素というのは、本作では一見押し込められているように見えるけれども、その独特な感覚というのは随所に散りばめられている―というよりも、底流にあるといったほうがしっくりくるかも。

ドラマ版小夜子を見てるせいかもしれませんが、登場人物の女の子は、肩より長い髪をなびかせた女の子、というイメージが不思議としっくりくるのよね。私だけかもしれませんが。

郷愁に駆られたい人にはぜひ。逆に世界観に入り込めなかったりだとか、登場人物に共感できないという人はただの苦痛になってしまうかもしれませんが、それなりの広さの読者にすでに受け入れられているそうなので、まず大丈夫なのかなと。

同じく暇潰しに持っていったマリみて新刊が霞む位の良書です。もっともマリみてと比較するのもどうかと思いますし、何よりそんなに本を読んでる人じゃないですがね。