血統の森+はてな

旧はてなダイアリーの自動インポートによるアーカイブです。

もうぬるぽ?

ええと、馬インフルエンザについて今まで積極的に(あくまでネット上だけれども)情報収集に努めてきたつもりですが、ここにきて混乱していてよくわかりません(えー)。疫学とかそういう知識がないにもかかわらず、無理についていこうとしているのがそもそもの間違いなんでしょうが(えーえー)。

Randwick開催中止DREAM SCHEME

(ここからは予断なんで、内容の正否判断は各自でお願いします)

オーストラリアではこれまでウマインフルエンザウイルスが検出されていない事から、外部から(となればアウトブレイク(引用者注:アウトブレイクwikipedia ja参照。)してしまった日本からの可能性を疑うのが最も妥当)持ち込まれたとは考えられます。

(中略)ウマインフルエンザウイルスはヒトには感染しないとされているとはいえ、感染馬と接触した人によって広がってしまう可能性が否定できません。

インフルエンザウイルスは一本鎖RNAウイルスであり、RNAはDNAより不安定なため変異性が高く、一本鎖ウイルスは相補配列を持たないために変異がそのまま定着します。その一本鎖RNAウイルスの中でも特に変異しやすいのがインフルエンザウイルスです。だからこそ毎年流行を起こすわけだし、新型インフルエンザが問題になるのですが。救いはエンベローブを持つので消毒に弱い(通常の石鹸や消毒用エタノール程度で壊せる)というところですかね。

で、ウマインフルエンザウイルスもそれと変わらない特徴かとは思われ。暑さによる免疫力低下も大きいのだろうが、この流行はワクチンによって得ている抗体が十全に効力を発揮できない変異株の流行ではあるでしょう。そりゃトレセン内部で沈静化傾向にあるのかも知れんですけど、防疫面からすれば現状の管理体制で競馬など開催している場合かとは思います。

アウトブレイクしたという事実をもっと重大なものだと認識すべきでしょう。

(予断終わり)


ELISA法- Shining Blade -

余り書きたくはないのですけど、馬インフルエンザに限らずウィルス性疾患というのは、そんな甘いものではなく、ウィルスは「変異」といってそのDNAを変化させ続ける特性がありますから、風評被害とか言って「人には感染しない」とか強調されている人も多いですけど、これも正確性を欠いていて、「これまで人に感染した例は報告されていない(これからは分からない)」というのがより正確な表現だと思います。馬インフルエンザは、他の種に感染しにくいという特性があるそうなので、まず大丈夫なのでしょうけど・・・・。

んー、さすがに今回発生した馬ウィルスの遺伝子検査は行っているでしょうが、冬季に蔓延する人インフルエンザと反応すると、何がどう転ぶか分からないという一面もありますから、やはり常識的には、「感染馬の隔離を行ってから、陰性馬のみで競馬を行う」というのが最低限守るべき競馬開催のための条件じゃないのかと思いますね。


インフルエンザの世界で今何が起こっているかJRA競走馬総合研究所

馬インフルエンザと犬インフルエンザの関係
 アメリカ合衆国において2000年以降に発生した犬インフルエンザの流行は馬インフルエンザウイルスが原因となっている。また、イギリスにおける散発的な発生は、犬が生の馬の内臓を食べたことが原因と推定されている。アメリカでの発生では、本来馬に感染するウイルスが犬に適応したと考えられている。現在、犬で確認されているインフルエンザウイルスには、馬インフルエンザウイルスにはない、いくつかの特徴的な突然変異体がある。これによって、犬に対する強い伝染性を持つようになったと推察されている


とまあ、特に何かを意図したわけでもないのですが、適当に並び立てて見ました。
これまでを簡単に振り返ってみると、当初はJRAの対外的な対応のまずさ、つまり広報体制にかなり気を取られていたわけですが、ここにきて馬インフルエンザに対する対応そのものが拙いのではないか、という話になってきたと。ここにきて、というのは私の主観ですけど、防疫に関する指摘は

JRA認識不足かウイルス保有馬隔離せず(ニッカン 08-19)

JRAは調教師に対し、陽性馬を他馬と接触させないように指導しているが、発症していない馬の調教に関しては「調教師の判断に任せる」としている。この措置に農学博士の本好茂一氏*1は「軽率すぎる」と苦言を呈した。

19日の時点であったにはあったわけですが、いかんせん扱いが小さくてこれだけではなんとも、と。


馬インフルエンザの脅威が、本当のところはどの程度のものなのか計りかねている、もしくは思考停止に陥ってるのかなと。伝貧*2ほど恐ろしい病気じゃない。かといって単なる風邪みたいなものというのはやや軽率ではある。(インフルエンザの脅威が皆目検討の付かない人に対して、取りあえずひどい風邪みたいなもの、という説明はありだとは思うけど。)で、今回この騒動をややこしくしているのは、実は競走馬に予防接種しているワクチンなんじゃないか、とこっそり思ってたり。
確かに予防接種のおかげで、酷い症状を訴えている馬はマスコミで伝え聞く限りではいない。その意味において、ワクチンは確かに効果を発揮していると思えるのだけれど、酷い症状の馬がいないし、たいしたことないんじゃ?と、ワクチンのおかげで症状が軽減されていることを飛び越して思ってしまう、というところにひとつ落とし穴があるのかなと。
そして、浄閑さんやMarlさんが指摘されているような、インフルエンザウイルスそのものが変異していくという脅威ですけれども、感染が拡がれば拡がるほどウイルスが変異する可能性も高くなると考えられるわけで、人間に感染するウイルスに化ける可能性も否定しきれないと。現に、上で引用したような犬に対する感染があったという話もあるようですし、トリインフルエンザみたいなことが起きる可能性を否定しきれるわけではないと。可能性はかなり低いとは思いますが、現実にそういったことが起きれば人間に対する脅威は計り知れないものがある、と。


で、そういう馬インフルエンザの脅威を最低限に抑えるために、きちんと防疫を行う、すなわち、陽性馬をきちんとした検査で隔離した上で、陰性馬のみで競馬を行うべきという浄閑さんの言い分と、隔離をまともにせずに陽性馬も陰性馬もごっちゃな状況でとりあえず競馬を現に行ってるJRAには大きな隔たりがあるわけですが。結局のところ、平和ボケしてるんじゃないですかね、JRAも獣医も調教師も、そして競馬ファンも。もちろん、ウイルスなんかに関する知識は専門家と一般人で隔たりがあるとは思いますが、衛生が行き届いてるわが国において感染症の脅威は薄れ、それにつれ人間の意識も薄れてきてるんじゃないかと。病気をなめてかかってる節があるんでしょう。


それでも、JRAの開催再開の判断についての是非って言うのは、私なんかはもう判断できない次元に突入したというか、いろいろ話がもつれてよくわからなくなってきたというか。何にせよ、判断する材料が少なすぎるといった感じで、激しく締まりはわるいですがこの辺で。

*1:氏に関しては、http://www.ntu.ac.jp/dept/aml/motoyoshi.htmlを参照。

*2:まさか競馬やってて知らない人はいないと思うけど、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E4%BC%9D%E6%9F%93%E6%80%A7%E8%B2%A7%E8%A1%80あたり参照。発見しだい即殺処分。